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  • https://twitter.com/xharaken/status/1594721416624373761

    FTX取引所の破産について。具体的な破産の経緯は非常に複雑ですが、暗号通貨取引所に共通する本質的な問題をえぐり出した事件だと思うので、要点だけわかりやすくまとめておきます。 1. FTXはカストディ型の取引所をやっていた。つまりユーザから預かった暗号資産の管理をやっていた。

    2. カストディ型の取引所では、ユーザが1BTC保有しているとき実際にユーザのBTCアカウントに1BTCがあるわけではなく(そもそもユーザはBTCアカウントすら持っていなくてよい)取引所が代わりに1BTCを保有している。

    3. 最も安全な管理方法としては「ユーザたちが保有しているBTCの合計=取引所がその取引所のBTCアカウントに保有しているBTC」にしておけばよく、これならユーザのBTC出金リクエストにいつでも応じることができる。

    4. ところがそんな100%担保を保証している取引所は少なく、取引所の裁量で勝手に資産ポートフォリオを組んで(BTCとドルと投資信託と国債と・・・)、「ユーザたちが保有しているBTCの合計=取引所の資産総額」になってればいいよね的なテンションで運用されている。

    5. FTXの場合この資産ポートフォリオがめちゃくちゃになっていた。自社発行のFTTトークンにたまたま価値があったのをいいことに、ユーザから預かった資金は政治献金や寄付に使い込んでしまって、資産ポートフォリオの大部分が自社発行のFTTトークンになっていた。ありえないよ。

    6. 所々のトラブルでFTTトークンの価値が暴落 => FTXの資産が崩壊 => ユーザたちが出金の取り付け騒ぎ => 応じられずに破綻した。(これは何も真新しい話ではなく構造的には昔から何度も繰り返されている古典的な話で、不良債権を抱えた銀行が取り付け騒ぎに応じられなくなって破産するのと同じ。)

    事件のきっかけはFTTトークンの暴落だけど、問題はそこじゃない。問題なのは4.の部分で、FTXにかぎらず多くのカストディ型取引所が「100%担保を保有せずに好き勝手な資産ポートフォリオを組んで運用されている」のはあまりにも危険でありえないと思うのはぼくだけでしょうか。

    カストディ取引所と銀行を比較してみるとヤバさがわかりやすいと思う。 【銀行】100%担保を保有せずに預金を運用・だけど中央銀行から厳しく資産ポートフォリオを規制される・万が一のときには中央銀行が最後の貸し手として救済 【カストディ取引所】上記から規制と救済を消して手放しにしたもの

    FTXがひどかったということ以上に、多くのカストディ取引所に同様の構造的リスクがあることはもっと知られないといけないと思う。 もっと言うと多くの法定通貨担保型ステーブルコインも同じ構造を抱えている(USDTは100%担保をUSDで保有しているわけではなく勝手に資産ポートフォリオを組んでいる)。


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Last-modified: Tue, 22 Nov 2022 13:12:44 JST (514d)