付録A: CDN 用語集 本章では、CDN に関連する役割(role)、関係者(participant)、およびオブジェクト(object)を表すのに使われる多くの専門用語の定義を紹介する。

これらの用語は、主に下記のIETF ドラフトから収集した:

http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-day-cdnp-model-04.txt http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-tomlinson-epsfw-00.txt http://events.stardust.com/cdn/documents/CDN_whitepaper_v3CH.PDF

用語集

AAA

アカウンティング、認可、および認証 アカウンティング(accounting) 配信の測定および記録、特に記録された情報が最終的にはその後の金銭、物品あるいは義務が移動する基礎として使われる場合。 アカウンティングは、サービス、コンテンツおよびリソースの利用度をその利用に責任を負う識別され、認証を受け、認可された人および利用条件 (例えば、1 日の時間帯または物理的立地)と結びつけることに関連する機能として定義できる。アカウンティングには、実際のデータログに加え、ログの採取を可能にする管理機能も含まれている。アカウンティングは収集されたリソース使用量のデータを容量やトレンドの分析、監査および請求の目的で集計する。この情報は、ユーザーおよびセッションの記録に整理され、後でこれら3つの目的のいずれかに利用するため、記憶される。

アカウンティング・システム(accounting system)

単一のCDN のアカウンティングをサポートするネットワーク構成要素の集合体。

アグリゲータ(aggregator)

できるだけ多くのファシリティ・ベースのプロバイダのPoP に CDN サービスを乗せ、複数のISP バックボーンにまたがるコンテンツ・サーバーの相互接続ネットワークを作る分散型またはマルチネットワーク型CDN サービス事業者。

認可(authorisation)

認可とは、特定の信用証明の提示者に対して特定の権利を与えるか否かを決定することである。この特別な権利の例としては、一定のリソースへのアクセスがある。

認証(authentication)

認証とは、メッセージのオリジネータとして(メッセージ認証)またはチャネルのエンドポイントとして、既知のネームスペースからすでに存在するラベルの形で請求されたID を検証することである。

認可リクエスト・ルーティング・システム(authoritative request-routing system)

コンテンツの特定の項目に対して適正で、かつ最終的な権限を持つリクエスト・ルーティング・システム。

アヴァタ(avatar)

ユーザー・エージェントのネットワーク・アクセス・ポイントにあるキャッシング・プロキシで、通常は密接に協力しながらユーザー・エージェント・グループの代理として動作する権限を持つ。

キャッシュ(cache)

プログラムが持つレスポンス・メッセージのローカル記憶でありメッセージの記憶、検索および選択を制御するサブシステムである。キャッシュは、その後の同じようなリクエストに対するレスポンス時間と帯域使用量を削減するため、キャッシュ可能なレスポンスを記憶する。どのクライアントまたはサーバーでもキャッシュを持つことができるが、トンネルとして作動しているサーバーはキャッシュを使うことができない。

キャッシング・プロキシ(caching proxy)

クライアントに対するサーバー、およびサーバーに対するクライアントとして作動しているキャッシュ付きプロキシ。キャッシング・プロキシは、輻輳に関連するインターネット・パフォーマンスの問題を改善するため、クライアントの近くに位置している。キャッシング・プロキシは、クライアントの要求に基づきオブジェクトをキャッシュするものであり、既定のオリジン・サーバーの負荷分散に役立つわけではない。キャッシング・プロキシは、“プロキシ・キャッシュ”あるいは、単に “キャッシュ”と呼ばれることがよくある。 “プロキシ”という言葉が間違ってキャッシング・プロキシの意味で使われることも多い。

CDN

“コンテンツ・デリバリ・ネットワーク”または “コンテンツ・ディストリビューション・ネットワーク”。コンテンツをクライアントに効果的に配信するため配置されたネットワーク構成要素の集合体。通常、CDN はリクエスト・ルーティング・システム、サロゲート、ディストリビューション・システム、およびアカウンティング・システムでできている。 [編集者注釈: 我々は“最低限の”CDN とは何かを明確にする必要がある。最低限度というのは、サロゲートの集合体は1 つの可能性であり、サロゲートとリクエスト・ルーティング・システムという別の可能性もある]。

CDN ピアリング(CDN peering)

CDNピアリングにより複数のCDNリソースを組み合わせ、単独のCDNより大きな規模で、あるいはより幅広い関係者に提供できるようにすることである。

CDN ピアリング・ゲートウェイ(CDN peering gateway)

CDN の相互接続点であり、 CDN ピアリング・ゲートウェイ(CPG)と呼ばれるネットワークの構成要素を通じて実現される。

クライアント(client)

リクエストのオリジンおよびそれに対して配信されたコンテンツの宛先。

コンテンツ(content)

デジタル・データ・リソース。配信に関してさらに制約のあるコンテンツの重要な形態の1つは、連続メディアである。

コンテンツ・デリバリ・ネットワーク(content-delivery network)

CDN を参照。

コンテンツ・ディストリビューション・ネットワーク(content-distribution network)

CDN を参照。

コンテンツ・ピアリング(content peering)

2 つの異なるCDN のオペレータがコンテンツを共有し、自分たちのインフラ全体にわたり一貫したコンテンツ配信レベルを維持し、利用したサービスに対して互いに請求することができる機能。

コンテンツ・プロバイダ(content provider)

オリジナルのコンテンツを提供する事業者。

コンテンツ・シグナル(content signal)

ディストリビューション・システムを通じて配布されるコンテンツの項目に関する情報を特定するメッセージ。例えば、オリジンがコンテンツの一部に新しいバージョンがあることをコンテンツ・シグナルで知らせることができる。

コンテンツ・サーバー(content server)

コンテンツを配信するサーバー。オリジン・サーバー、複製サーバー、サロゲート、または親プロキシの場合がある。

連続メディア(continuous media)

ソースとシンクの間にタイミング関係があるコンテンツ。すなわち、シンクはソースにあるタイミング関係を再現しなければならない。最も一般的な連続メディアの例は、音楽および動画である。連続メディアは、ソースとシンクの間のタイミング関係が‘厳しい’ リアルタイム(対話型)や関係がそれほど厳密ではないストリーミング(再生型)がある。

CPG

CDN ピアリング・ゲートウェイを参照。

デリバリ(delivery)

発行元のコンテンツをクライアントが使用できるように提示する行動。ディストリビューションおよびリクエスト・ルーティングと対照。

ディストリビューション(distribution)

発行元のコンテンツをオリジンから1 つまたは複数のサロゲートへ移動する行動。配信は、サロゲートがリクエストを受信すると予期して(プリ・ポジショニング)、あるいはサロゲートが受信したリクエストに応えて発生する (オン・デマンドで取り寄せる)。デリバリおよびリクエスト・ルーティングと対照。

ディストリビューション・システム(distribution system)

単一のCDN へのディストリビューションをサポートするネットワーク構成要素の集合体。このディストリビューション・システムは、コンテンツ・シグナルも伝達する。

エッジ・サービス(edge service)

サロゲートからエンドユーザーまで単一のラストマイル・ホップのコンテンツ配信。サービス・プロバイダのネットワーク・エッジでキャッシングが必要である。

インバウンド/アウトバウンド(inbound/outbound)

インバウンドおよびアウトバウンドは、メッセージに対するリクエストとレスポンスの経路を指す: “インバウンド”は、“オリジン・サーバーに向う移動”、 “アウトバウンド”は“ユーザー・エージェントに向う移動”を意味する。

仲介プロキシ(interception proxy)

(“透過性プロキシ”または“透過性キャッシュ”としてよく知られている) “透過性プロキシ”は、ユーザー・エージェント内ではゼロ構成で使われるプロキシを表現する言葉としてキャッシング分野で使われてきた。ユーザー・エージェントに対して透明な面があるという使い方だが、矛盾があるため(前述の“プロキシ”の定義を参照)、 “透過性(transparent)”という言葉の使用に反対があり、我々はトラフィックを仲介するネットワークの構成要素からリダイレクトされたトラフィック・フローを受信するプロキシを表すのに “仲介(interception)プロキシ”という言葉を導入した。仲介プロキシは、トラフィック・リダイレクションのプロセスを通してインバウンド・トラフィック・フローを受信する (このプロキシは、プロキシにより適切なサービスの利用を実現あるいは要求できるようにするため、ネットワーク管理者が展開する)。仲介プロキシの展開に関連する問題点は、文書“Known HTTP Proxy/Caching Problems”[19]に記載されている。仲介プロキシを使うには、オリジン・サーバーと直接通信しているかのように行動するユーザー・エージェントのゼロ構成が必要である。

負荷バランシング(load balancing)

どのサーバーの負荷が最も少ないかを決定し、それに従いサーバー・クラスタ間で負荷のバランスをとる IP ネットワーク内のインテリジェント機能 (ルーターにバンドル、または別個のアプライアンスとして実行)。

マッピング(mapping)

“リクエスト・ルーティング”を参照。

マルチキャスト(multicast)

マルチキャストは、ネットワーク上における1 つの送信者と複数の受信者の間の通信である。ストリーミング関連では、サーバーで1 つだけのメディア・ストリームを設定して潜在的にはそれを無制限の数のクライアントが見るまたは聞くことができるよう に することを意味し、マルチキャストのコンテンツ配信は極めて帯域利用効率の高い方法である。

ネットワーク構成要素(network element)

ネットワーク・メッセージの処理に影響を与えるデバイスまたはシステム。

非透過性プロキシ(non-transparent proxy)

“プロキシ”を参照。

オリジン(origin)

コンテンツがディストリビューション・システムに入る最初のポイント。コンテンツのどんな項目に対しても、オリジンは、ディストリビューションの“コア”にあるサーバーまたはサーバーのセットであり、そのコンテンツの“マスター”または“認可された”コピーを保持している。

オリジン・サーバー(origin server)

一定のリソースが存在する、または作成されるサーバー。オリジン・サーバーのリフレッシュは、コンテンツ・プロバイダが行なう。オリジン・サーバーは、多くの分散したサロゲート・サーバーにアップデートを送るが、それにはIP マルチキャスト技術を使うことが多い。

ピアリング(peering)

CDN ピアリング、コンテンツ・ピアリングを参照。

PoP

Points of Presence。顧客などのエンドユーザーをラストマイル・アクセス・ラインを介してインターネットに接続するIP ネットワーク・サービス・プロバイダの本部。

プロキシ(proxy)

他のクライアントの代理としてリクエストするため、サーバーおよびクライアント双方として行動する中継プログラム。リクエストは、内部で対応する、また時には翻訳して別のサーバーへ転送する。プロキシは、この仕様のクライアントおよびサーバー双方の要求条件を実行しなければならない。 “透過性プロキシ”は、プロキシの認証および識別に必要なもの以外にはリクエストまたはレスポンスの修正を行なわないプロキシである。 “非透過性プロキシ”は、グループ通知サービス、メディアのタイプ変換、プロトコル削減、あるいは匿名性フィルタリングなどユーザー・エージェントに追加サービスを提供するため、リクエストまたはレスポンスを修正する。透過性または非透過性の動作が明示されている場合以外は、 HTTP プロキシの要求条件は、両方のタイプのプロキシに適用される。

プロキシレット(proxylet)

キャッシング・プロキシのコア・サービスに対するプロシジャ・インタフェースを持つ実行可能なコード・モジュール。プロキシレットは、コンテンツ・サーバーまたはユーザー・エージェントからダウンロードする場合、キャッシング・プロキシ上にプレインストールされている場合などがある。

プロキシレット・ライブラリ(proxylet library)

プロキシレットがリンクされているサービス環境のキャッシング・プロキシ・プラットフォームに依存しているAPI を結合する言語。これにより、プロキシ上のサービス実行環境に対して標準的かつ厳密に制御されたインタフェースを提供することができる。

発行元(publisher)

最終的にコンテンツとその配信をコントロールする組織。

到達可能なサロゲート(reachable surrogate)

特定のディストリビューション・システムまたはリクエスト・ルーティング・システム経由で接触できるサロゲートの集合体。

リダイレクタ(redirector)

コンテンツ・プロバイダが自分のDNS サーバーに対するリクエストを CDN プロバイダの DNS サーバーへリダイレクト(転送)できるようにするツール。さらに、要求したユーザーにどのサロゲートがコンテンツをデリバリするかを決めるのにユーザー近接度とサーバーの負荷などマトリックスを使ったルックアップ・サービスでもある。

リモート・コールアウト・サーバー(remote callout server)

協力関係にあるサーバーで、サービス環境のキャッシング・プロキシとネットワーク・プロトコル・メッセージングのやり取りの結果としてサービスを実行する。

リクエスト(request)

配信すべきコンテンツの特定の項目を識別するメッセージ。

リクエスト・ルーティング(request-routing)

クライアントからのリクエストをそのリクエストに対応したサービスを提供できる適切なサロゲートに送る、あるいは向ける動作。

リクエスト・ルーティング・システム(request-routing system)

単一のCDN に対するリクエスト・ルーティングをサポートするネットワーク構成要素の集合体。リクエスト・ルーティング・ピアリング・システムは、 CDN ピアリング・システムのリクエスト・ルーティング機能を代表するものであり、クライアントのリクエストをコンテンツ配信に適切なピアリングしているCDN にルーティングする責任がある。

リバース・プロキシ・キャッシング(reverse proxy caching)

サロゲートまたはキャッシュ・サーバーを利用し、発行元のオリジン・ポイントを拡張して物理的にエンドユーザーに近いPoP に分散できるようにすること。

RTP

RTP(Real Time Protocol)[RFC-1889]は、UDP の上位で実行され、音楽や動画を含むリアルタイム・データの伝送に使われるプロトコル。 RTP は、データとRTCP と呼ばれる制御部分からできている。 RTP のデータ部分は、連続メディアなどタイミングの再構築、損失の検知、セキュリティおよびコンテンツの識別(ペイロード)を含め、リアルタイムの性質を持つアプリケーション(例えば、音楽や動画)をサポートするthin プロトコルである。

RTSP

RTSP(Real Time Streaming Protocol)[RFC-2326]は、リアルタイム・メディアの配信を制御する通信プロトコルである。ストリーミング・メディアのクライアントとサーバー・ソフトウェアの間の接続を定義し、クライアントとサーバーが多くのベンダーからマルチメディア・コンテンツをストリームするための標準的方法を提供する。 “インターネットVCR のリモート・コントロール・プロトコル”と見ることもできる。 RTSP はアプリケーション・レベルのプロトコルであり、 RTP がインターネット上でサービスの完全なストリーミングを提供するのと同様、さらに下位のプロトコルと協働するよう設計されている。

ルール・モジュール(rule module)

入ってくるプロトコル・メッセージをマッチングし、一致した場合は内容を処理するのに使われるメッセージ・パターンの記述とその結果としての行動の集合体。

サービス(service)

サーバーが遂行する(または提供する)作業。 (ファイル・サーバー、gopher またはhttp サーバー、E メール・サーバー、フィンガ・サーバー、SQL サーバーなどように) ただ単にデータの送信または記録という単純なサービスを意味することもあり、また、IRC サーバー、プリント・サーバー、X Windows サーバー、あるいはプロセス・サーバーなどの作業のようにもっと複雑なものもある。

サービス環境キャッシング・プロキシ(service environment caching proxy)

基本的で短絡的なリクエストに対応するだけでなく、メッセージ・トラフィックの修正を目的とした別のホストとのネットワーク・トランザクションを含め、拡張可能(プログラマブル)なサービスを実行できるようにする機能を持つキャッシング・プロキシ。

サービス実行環境(service execution environment)

新しいサービスの定義と実行を可能にするキャッシング・プロキシ上の環境。

サロゲート(Surrogate)

オリジン・サーバーと共同設置されている、またはネットワーク内の異なるポイントにあり、 1 台または複数のオリジン・サーバーの代理として、通常は密接に協力しながら動作する権限を持つゲートウェイ。レスポンスは、一般には内部キャッシュから送られる。 または: オリジン以外のデリバリ・サーバー。マッピングされたリクエストを受信し、該当するコンテンツを配信する。 サロゲートは、オリジン・サーバーまたはオリジン・サーバーの代理である別のサーバーからキャッシュ・エントリを引き出すこともある。サロゲートがこのようなリクエストをトンネルする場合もありえる。 オリジン・サーバーとサロゲートの間に密接な協力関係があれば、これにより、 [4]のキャッシュ・コントロール・ディレクティブを含めプロトコル要求条件の一部修正も可能となるが、このような修正は、まだ十分に特定されていない。 “リバース・プロキシ”および“(オリジン)サーバー・アクセラレータ”として一般に知られているデバイスは、両方ともサロゲートとして定義した方が適切である。

シンジケーション(Syndication)

多くは有料のサービス加入契約による再利用および別の材料と統合するための材料の供給。最も一般的なシンジケーションの例は新聞であり、通常はニュースの電信サービス、マンガ、コラム、星占い、クロスワードパズルなどの内容を組み合わせてコンテンツを形作る。新聞は、コンテンツ・プロバイダからコンテンツを受け取り、必要に応じて加工し、別のコピーと統合して印刷し、発行する。コンテンツ・シンジケーションは、長年にわたって主に印刷メディアの特徴であったが、今日ではWeb 上にある情報の非常に大きな部分を占める手段となっている。

シンジケータ(Syndicator)

コンテンツ・アセンブラ

透過性プロキシ(Transparent proxy)

“プロキシ”を参照

トリガー(Trigger)

ネットワークのプロトコル・メッセージをマッチングし、それにより一致したメッセージ・セグメント上でプロキシレットに実行させる、または別の行動を起させるルール。

ユニキャスト(Unicast)

ユニキャストは、ネットワーク上にある単一の送信者と単一の受信者の間の通信である。ストリーミング関連では、ある音楽や動画を要求している各クライアントに対し、サーバーとクライアントの間に新しいメディア・ストリームを設定しなければならないことを意味し、従ってユニキャストのコンテンツ配信は非常に多くの帯域を使う。

ユーザー・エージェント(User agent)

リクエストを最初に出すクライアント。ブラウザ、エディタ、スパイダ(Web トラバーシング・ロボット)、あるいはその他のエンドユーザー・ツールであることも多い。


Reload   Diff   Front page List of pages Search Recent changes Backup Referer   Help   RSS of recent changes